エンジニアやめて研究者に戻ります。
エンジニアをやめて研究者に戻る。
エンジニアが嫌だとか、今の会社が嫌だとかそういう理由ではなく、研究者に再チャレンジしたいからだ。
私は博士課程のときにNb$_3$Sn(ニオブスズ)という超伝導材料の超伝導特性と微細材料組織の関係について研究していた。ITエンジニアとは全く関係ない分野で、分野で言うと電磁気とか無機化学とかそのへんだ。
超伝導とは”電気抵抗ゼロで電流を流すことのできる状態”であり、この特徴を発現する材料を超伝導材料という。電気が流れるとき、どこまでもいつまでも流れるわけではなく、だんだん減衰していく。それは電気が流れると熱が発生して電気エネルギーが熱エネルギーに変わってしまうからだ。熱に変わってしまうと電気の量は減ってしまう。電気が流れると電気が熱に変わってしまう場所のことを電気抵抗といい、電気抵抗の値が大きいほど電気が熱に変換される度合いが大きい。普通の金属には、電気抵抗が存在するため電気を流して長い時間が立つとすべての電気が熱に変換されてしまい、電気はなくなってしまう。しかし、超伝導材料は電気抵抗がゼロであるから、電気は熱に変換されずに永久的に流れることができる。
ちょっと違う観点から考える。
電流を流すと、磁場が発生する。大きな電気が流れると、発生する磁場も大きくなる。例えば核融合発電炉ではプラズマ化した水素を閉じ込めるために、巨大な磁場が必要で、そのためには大きな電気を流す必要がある。電気を流す量が多いほど発熱量も大きくなる。大きな電流を流そうとすると、膨大な熱が発生してしまって電気が流れているものが燃えてしまう。例えば電線の場合は燃えてしまうことで断線してしまい、物理的に電気を流すことができなくなってしまう。超伝導の場合は、電気抵抗がゼロなので大きな電気を流しても熱が発生せず、焼き切れることはない。こういった理由から、超伝導材料は核融合発電の実現に必要不可欠だと言われている。
超伝導材料は様々あるが、私はNb3Snを研究してきた。
Nb3Snを数少ない実用化されている超伝導線の1つだが、核融合炉や粒子加速器を実現するためには、現状よりも超伝導特性を改善しなければならない。超伝導材料の結晶組織や元素分布などといった微細組織は超伝導特性と密接に関わっており、これらを制御することによって特性を向上させることができることが知られている。
私の研究では、Nb3Snの微細組織と超伝導特性の関係を明らかにして、微細組織を制御することで超伝導特性を向上することを研究していた。